畑を手伝う

秋の菜園場づくりに夏ものを片づけて、肥料やら石灰を混入して耕運機で整地する日であった。私は畑仕事が大嫌いだ。百姓の出であるにも関わらず、苦手としている。畑はほとんど妻が趣味として関わり、食卓にもたびたび一品として出てくる。私としては心苦しいがなんとか妻には了承済みだ。手伝うのは耕運機の操作、キュウリや茄子などの手をつくる時に畑に出て行って作業をするぐらいだ。

 私は山奥の貧農家で生まれた。当時は水道もなけれは、電気もつかない、ランプが記憶に残っている。水は谷底で湧き出している清水を汲み上げて、飲み水とし、風呂水にもなった。バケツ2杯に水を汲み天稟ぼうで担いで、何度も往復したものだ。もちろん風呂は薪で沸かし、炊事もかまどに木を焚べ、火吹きだけでフーフーと吹いて火を起こしたことを今でも思い出される。

 私は長男だった。親にとっては私は親の希望でもあって、「ここはいいから勉強をしておきなさい」と言われて苦役から逃れるチャンスみたいになった。だから、勉強はした。大学にも行った。親の願いがこもっていた職業についた。百姓は嫌だなーというのがいつも頭にあったのが、今も続いているということのようだ。利己主義め!と言われそうだけど。